こんにちは。
SNSなどを見ていると、レッドウィング120周年の目玉商品として復刻された茶芯のエンジニアブーツ#2966が盛り上がりを見せていますね。
前回の茶芯のモデル#9268が販売されたのは2014年なので約10年ぶりの復刻です。
10年前は購入しようか悩んでいる内に廃盤になったので、今回は購入しようかなと思いましたが、オンラインはすでに完売しているようです。再販はいつになるのやら。
海外では日本ほどエンジニアブーツの需要は高くないそうです。ファッションアイテムとしてもブーツを履く、日本ならではなのかもしれません。
色々検討の末、話題沸騰中のエンジニアブーツではなくフラットボックスを購入することにしました。こちらも茶芯で、作られた背景も面白い商品なので、そのストーリーも込みでワクワクする靴です。今回は着ていない革ジャンを売ってブーツ代に充てました。散財出来るほどFEELZEの商品も売れるように頑張りたいと思います(笑)
話は変わりますが、SNSでブーツの投稿を見ていると、「ダンボール皺」や「ミミズ皺」という聞き馴染みのないワードを目にしました。
どういう内容かというと、きめの細かい綺麗な履き皺と対照的に、ダンボールを折り曲げたような、ミミズが這ったようなボコボコとした皺をそう呼ぶそうです。
綺麗な履き皺の個体を求めて買い直しを検討する方もいるようで、靴の楽しみ方も人それぞれだなと思います。
自身もブーツが好きなので購入しますし、左右の個体差があるものも持っています。
右足の履き皺の方がワイルドな感じです。これがダンボール皺でしょうか?
好みで言えば、確かに左足の履き皺の方が好きです。
こちらは左足の方が、革質がゆるい印象です。
好みで言えば、右足の質感の方が好きです。
履き皺の違いに関しては、革製品を作っている身としては仕方ないよなと言うのが率直な感想です。
そもそも革という素材自体が一枚一枚異なる不均一なものであり、個体差、加工差、部位や繊維方向による革質の違いなどがある素材です。
同じ革でも部位によってこんなに表情が違います。
比較的ハリのある、質が良い部位でも曲げる方向で皺の入り方が違います。皺の荒い方は程度の悪い皺になるのでしょうか?
ここまで最初から皺が出ている部位はさすがにブーツでは使われていませんが、繊維のゆるい部位はどこをどういう方向で曲げても銀浮きします。
こういった内容を人が選別をして製品になる訳です。(今は機械による工程も増えているかもしれませんが)
綺麗な所、質が良い所だけを使って製品を作るのは簡単です。ですが、いかに製品にした時をイメージして、悪いとされる所(傷、色ムラ、革質のバランス等)も考慮して、革を無駄なく使い切られるかが裁断者目線で見た時には良い仕事をしたかになります。
そこには時間やお金といった商業的な事も絡んできます。革製品を作るにあたって裁断は始まりの工程であり非常に重要です。売られているモノを見ると、革が綺麗なのは当たり前で、縫製やデザイン等に目がいきがちですが、上手に早く作る職人と同じくらい、実は製品のクオリティに関わっています。
今回の履き皺の善し悪しは見た目に関する事です。例えば、皺が変に入る事によって着用に支障が出たり、すぐに壊れてしまうのは靴として問題ですが、そこまでではないのなら個人の好みの問題かなと思います。
どちらかというと、そのモノが持つ本質に関する事の方が自分は重要だと考えています。靴で言えば、足を保護して人の活動の手助けをする為の道具です。履いていて身体や活動に支障が出るような事がなければ、ファッション性や見た目の美しさは靴の本質に付随する+αの部分かなと。
革製品に対して神経質になり過ぎるのは、革製品を楽しむという点では心が疲れるだけですし(人それぞれのこだわりを否定はしない)、不均一さが嫌なら完全オーダーメイドでこだわりの靴を注文したり、別のメーカーや素材のものを楽しむことだって出来ます。革製品はある程度の寛容さがないと難しいですし、革に執着する必要もありません。
買わない選択はいつでも出来ます。
それでも購入するのなら、革製品の良い面、悪い面も良く理解した上で革という素材をまずは楽しんで欲しいなと感じたので一作り手、一消費者の考えとしてブログにしてみました。
長くなりましたが、最後までお付き合い頂きありがとうございました。
では、また!
FEELZE(フィールズ)は、大阪の今里に店舗を構える手作りレザー工房です。
自分なりの「カッコいいね」や「面白いね」を基に、ファッションや生活の一部にもなるような革製品を製作します。